「学生主事」と言う、大学職員からの学生支援について
―学生と共に成長し続ける存在として―
国士舘大学文学部事務室 前田 剛
はじめに
大学職員は、従来は教員の教育研究活動を補佐する位置づけを担ってきたが、これからの大学職員は大学経営を担い、大学の社会的使命である、社会に貢献できる人材を育成し輩出するための学生支援を積極的に展開しなければならない。学生支援の一例として、本学の学生主事制度について報告し、大学職員としての学生支援のあり方について、皆さんと意見を交換したい。
1.制度の成立経緯・業務について
国士舘大学の学生主事制度は、職員が学生支援に深く関わる点において他大学に無い制度である。旧来学生監と言われ、専門分野を教授する教員とは別に、人材育成としての役割を担った。その後、国士舘大学の近代化に伴い、学生主事と名を変え、現在は学生係として受け継がれている。
学年担任制を取っており、担当学生数は1人につき200人から400人前後、各学部8名ほどの担当主事が入学から卒業までの諸業務を教員と連携しながら行っている。
特徴は学生へアプローチすること。学生が部屋を訪れて相談を受け支援するだけではなく、こちらから出向いて、または電話で、電子メールで学生主事が関わることで学生との距離が近くなり、かつ学生同士の連携を高める上で効果を発揮している。
またカウンター常勤であるため、授業等で不在となる教員よりも学生と接する機会が多い。よって学生からの様々な意見や質問を吸い上げ、教員への橋渡し役となり教職員の連携を良好に保っている。
2.利点・改善点
利 点
専攻別配置のため、学部や専攻の意志を反映した支援が行われるので、学生部や学生支援室といった機能優先の組織に比べて個別にきめ細かい指導が出来る。窓口業務は基本的に受け身であるが、学生主事は担任制を取っているため、学生に限らず教員や保護者をも含めた学内各部署を有機的に融合し連動させる機能を受け持っており、学生支援に効果を上げている。また緩衝剤となる場合もあり、教員・学生双方の意見集約が出来、有益な情報が発信できる。
改善点
- ・専攻内で教職員が連動して行う業務が多く、業務棲み分けが明確ではない。グレーゾーンの対応が、主事によってまちまちである。教員がするべき事まで学生係任せとなる場合がある。
- ・担当主事によって、個々の裁量に任される部分が多く、基準となる規範が無いため、主事業務経験の無い職員や、経験の乏しい職員は、学生支援が行き届かない場合がある。
- ・カウンセリング方法等、必要な知識や技能の習得が個人任せとなっている。
現在、本学では学生主事制度の見直しが行われているが、学生支援が縮小・弱体化しないか懸念される。今後はグレーゾーンをどのように分担させ支援体制を向上させるかが課題となる。
また学生の生活支援はカウンセラーで対応できるのだろうか。カウンセラーは対人相談に関しては専門性を有しており、業務の明確化という意味でもカウンセラーは魅力的である。しかし学生からの質問や対応を考えると、カウンセラーへ移管統合というより、現状がよりマッチしていないだろうか。学生の居場所の1つとして学生係カウンターは利用されている。我々教職員との関係を作り上げる連結器としての役割を、今後も学生係は担う必要がある。
3.これからの学生支援について
教育は教員がやるべきものと言う考えが従来からあったが、教員は専門教育や研究に加え、学生の生活指導まで手が回らない。教員は専門教育に力を注ぎ、職員は学生生活支援という棲み分けは出来ないだろうか。教職員がお互い手を携え、学生の将来をプロデュースできたら、三者それぞれの持ち味が発揮出来るのではないか。その点で両論論から高橋真義氏の提唱されている三輪車論は、将来の三者のあり方を考えるうえで有効である。
また、今後大学職員の学生支援のあり方として、主に大学や教員側に立った「学生指導」という視点から、学生側に立った「学生と共生する存在」という視点を加える必要があり、学生主事のさらなる可能性を模索し、さらに学生との連携を深めて成長を続けたいと考えている。